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『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』で触れた、“少しはわかる”であり続けるたくさんの「愛してる」

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 普遍的なものとして描かれることが多い「愛」。しかし、本当に普遍的なものなのでしょうか。

 今回はそう思うきっかけをくれたアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』をご紹介します。

 

 

「愛してる」は永遠に「少しはわかる」ものなのかもしれない

 

 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、主人公のヴァイオレット・エヴァーガーデンが「愛してる」の意味を知るまでの物語です。

 

 なぜヴァイオレットは、「愛してる」の意味を知りたかったのか――。それは、彼女が心から慕っていたギルベルト少佐から告げられた言葉だったからです。

 とある大陸の戦時下において戦う道具として買われた彼女は、感情を知りませんでした。そんな彼女に名前を与え、彼女が自由に生きることを心から望み、唯一彼女を “一人の人間”として受け入れていた人物がギルベルト少佐だったのです。

 ギルベルトにだけは心を開いていったヴァイオレット。しかし人の感情を理解できない彼女は、立場上上官であるギルベルトからの言葉をすべて命令としてしか受け止められません。ただその命令こそがその時の彼女にとって、ギルベルトとともにいるための手段、生きるすべてだったのです。

 

 そんな彼女は戦争のさなか、敵からの襲撃でギルベルトと離れてしまいます。その間際、ギルベルトが優しい笑みとともにヴァイオレットへ初めて告げた言葉が「愛してる」。大切な人から受け取った意味の分からない言葉が彼女を、手紙を代筆する“自動手記人形(ドール)”という新たな道へと導いたのです。

 とはいえ手紙の代筆は、人の気持ちをくみ取ってなんぼの仕事。人の感情を理解できない彼女にとってドールは、非常に難しい仕事でした。しかし「愛」を知らないまっさらなヴァイオレットは、先入観なしに真正面からさまざまな依頼人の「愛してる」に向き合い言葉にしていきます。

 

 妹から、戦争で生き残った唯一の家族である兄へ。
 都会で夢を叶えるために働く娘から、両親へ。
 恋する王女から、恋焦がれる王子へ。
 古い書物に記された内容を、今へ。
 父親が完成させた物語を、今はもう天国にいる娘へ。
 兄から、自分を立ち直らせてくれた妹へ。
 母から、この世に一人残していく娘へ。
 戦地にいる兵士から、両親と婚約者へ。

 

 物語の中でヴァイオレットは、目の前の人の想いを丁寧にすくいとり、手紙という形で数々の「愛してる」を届けてきました。そして彼女はアニメ最終話で、ギルベルトへ向けてこう綴るのです。

 

私は今――、
「愛してる」も、少しはわかるのです。
※テレビアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』13話「自動手記人形と「愛してる」」 ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

 「愛してる」の意味を知りたくて、たくさんの「愛してる」を言葉にしてきたヴァイオレット。そんな彼女が「愛してる」を「少しはわかる」と言ったのです。

 このセリフを聞いた時に私は、ヴァイオレットが向き合ってきた「愛してる」に名前をつけたくないというか、カテゴリに当てはめられないと感じました。

 父母性愛、友愛、情愛……。愛の形にもいろいろありますが、彼女が触れてきたたくさんの「愛してる」には、依頼人一人ひとりの人生が映し出されていたように感じます。つまりこの世に1つとして同じ「愛してる」はないからこそ、彼女は「少しはわかる」と言ったと思うのです。そしてきっと誰にとっても「愛してる」は「少しはわかる」ものであり続けるのではないかと、私はヴァイオレット・エヴァーガーデンを通して感じました。 

作り手の「愛してる」もヒシヒシと

 さて「愛」をテーマにえがかれた『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。物語を通して伝わってきた「愛」には、作り手の皆さんの「愛してる」もありました。

 アニメーション制作は、「京都アニメーション」。作画、彩色、背景、音楽、演出などアニメをつくる要素すべてに繊細さが光る制作会社です。

 

 

 私にはこの映像美を言葉にする力が足りない……。どんな言葉を使ってもチープになってしまう……。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を見た瞬間、そう思わずにはいられないほど圧倒されました。

 

 

 

 なびく髪の毛一本、弾ける水しぶき、街にともる灯。どのシーンをとっても1つの妥協も感じない映像をつくるためにどれだけの人が、キャラクターたちを、この世界を愛していたのだろうかと、テレビ放映時に何度も何度も感じました。

 また胸を打たれたのは、声優さんの演技にも。特に主人公のヴァイオレット役の石川由依さんは、感情が“ない”のではなく感情を“知らない”だけの彼女そのものでした。それもそのはず。石川さんはヴァイオレット役にのぞむにあたり、「ヴァイオレットだけは、私が絶対演じる!」と強く願っていたというのです。そんな気持ちでヴァイオレットを演じてくれた人がいるという事実にも、胸が熱くなりました。

 私は作り手の愛がこもっていないアニメはないと思っています。そのなかでも『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、作り手の皆さんが「ヴァイオレットの成長をともに見守って」という「愛してる」を送り続けてくれていたような気がするのです。

ヴァイオレットとともに、たくさんの「愛」を巡る旅を

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 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、ヴァイオレットとともに愛を巡る旅のようなアニメです。その旅路には、悲しさも寂しさもくやしさもつらさもあります。ただたどりついた先々には、じんわりと心に染み渡るあたたかさがありました。

 

 

 2018年の冬アニメとして全13話、さらに劇場公開された外伝「―永遠と自動手記人形―」をへて、2020年4月には『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が公開され、テレビシリーズの再放送も始まります。

 ぜひこの機会に、ヴァイオレットと「愛してる」の意味を探しに旅に出かけてみませんか? 

 

▼各公式サイトはこちら▼

<テレビ>http://tv.violet-evergarden.jp/

<外伝>http://violet-evergarden.jp/sidestory/

<劇場版>http://violet-evergarden.jp/

 

▼配信でまとめてみたい人はこちら▼

<テレビ>https://www.netflix.com/title/80182123

<Extra Episode>https://www.netflix.com/title/81010662

 

▼まずは物語をざっくり知りたい人へ▼


5分で分かるアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第1回

 


5分で分かるアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第2回